2013年4月18日木曜日

第5回空き地歌会 山崎修平さん全首評

山崎修平さんの全首評です。


A そよ風の裏切りにより花びらは着地するほかなかったんだよ
そよ風の裏切りによって着地ということは、花が落ちたということでしょうか。より「落ちてしまったのだ」という気持ちを出したい歌ですよね。着地という言葉がどうも引っかかってしまって、宇宙から帰って来た人の「着地」とか、飛行機が「着地」ならナルホドと思うのですが、花びらの「着地」というと強風で(かなり強い強制力で)花が振り落とされたような印象を持ちました。そよ風だけに。優しい歌だと思います。

B お隣のケンカを夜ごと聞かされる私の罪は何? 沈丁花
沈丁花に語りかけているのでしょうか?お隣のケンカを夜な夜な聞かされるのは確かに苦痛です、近所付き合いもありますから、苦情もおおっぴらには言えない、それを沈丁花に語りかけているのでしょうか。すんなりと「ああ、そうだよな」と言葉を飲み込んでしまったあとに、最後の「沈丁花」というフレーズが、この場合本当に部屋に沈丁花があるのだろう、とは思えるのですが、その背後に隠された奥行き、広がり等が、すんなりと意味が取れるだけに分かりづらかったです。率直な歌だと思います。

C 折れさうな身体のお兄さんの手に仕事の都合といふ花言葉
折れそうな身体のお兄さんはいますね、街中に。今はもう乗りませんが、満員電車に乗ると、確かにお疲れの方が特に若いお兄さんがいます。その状況を的確に描写した歌だと思います。確かに、こういうお兄さんに言葉を付与したい。何かで言い表したいとは思います。つまり憐憫や同情ではなく、言葉にすることにより、近接性が得られる、一般化されるのでしょう。それを「花言葉」と言い表した。花言葉は全然知らないのですが、花それぞれにあるのですよねきっと、疲れきったお兄さんを言い表す花言葉は今日から「仕事の都合」と呼びたくなります。アイロニーも感じます。

D スギ花粉噴射スプレー目と鼻に ヒロ先輩に卒業祝い
ヒロ先輩一体なにしたんですかね?スギ花粉噴射スプレーなるものを目と花に噴射されているのですからね、相当な事をしでかしたんですよね。周りから好かれていると取りました。一応「先輩」と敬称付いていますからね。ただヒロ先輩からしてみれば、結構辛いですよね。胡椒ならすぐにクシャミでますからね、面白い画になると思うのですが、スギ花粉噴射スプレーは即時性なさそうですよね、2、3、年経ってじわじわと花粉症になりそうですよね。うーん。ただ、ヒロ先輩悪い奴じゃなさそうだな。

E 桜舞う恋を奏でる曲の音と香り残して君に届けと
恋を奏でる音と香りを残して届くのは「君」への想いなのでしょう。音や香りと共に(力を借りて)ではなく、音や香りは残して、純度の高い想いの部分だけが相手に届くように、と。「君」への想いの深さ、純粋さや、潔さも感じられる歌だと思います。

F 営業が出払った午後事務員のまどろみのなか睡蓮ひらく
まどろみと睡蓮がかかっているのですよね。営業さんが出払ったあとに微睡んでいるんですよね、うーむ。これは「営業さんが出払った午後→まどろみ→睡蓮が開いた」という事でしょうか。だとするとまどろんでいる人は睡蓮が開いた事を確認出来ないですから他の第三者が確認しているんですかね、「あ、睡蓮ひらいた。あいつ寝てるわ!」って。そう考えるととても面白いと思いました。

G 鮮やかな色響かせて咲き誇る好きという花降りそそぐ君
鮮やかな色とは何でしょう?とまず考えて、鮮やかな色という明確な基準が自分には無いので、例えば何かの色が「鮮やかだ」とは思いますが「鮮やかな色」という概念がないので、その色を響かせる、ときて、ん?響かせるということは共鳴して鳴り響いているのですよね、鮮やかな色が響いている、何だか抽象画のような世界ですね。そして「好きという花」が「降りそそぐ君」で、頭がグラングランしてきて、歌意が取れなくなってきました。「君に降りそそぐ」ではなく「降りそそぐ君」ということは「君」が降りそそいでいるとも取れますよね。好きという花は誰が何を好きと言っているのでしょうか。花が好きといったとも取れますよね。不思議な魅力がある歌です。

I 咲くことのない花ですとわたされた石をあなたは窓辺にかざる
たまに海外からの土産物でおかしなもん渡されて、現地のシャーマン(呪術師)の祈りが込められたモノとかで、捨てると呪われそうだし、不燃物か資源か分からないし、玄関先に飾っておくのだけども、友人が来た時に必ず「これは、何?」「槍だけど」ってなる。日本に住んでいる時に、相手に渡すものはいつの間にか常識ってもんに、限られてしまって、デパートで売っているものとか、花とか、指輪とか、決まりきったものになっている。だけども、この歌の場合、「咲くことのない花」として「石」を「わたされている」例えばドングリでも道に落ちている石でも、子供の頃の宝物には誰しも大人になって赤面するものだけど、この「わたした」人は「石」を「花」として(つまり、贈り物として広く一般に市民権を得て認知してされているものとして)半分冗談に、半分本気で言っているのだろう。そしてこの「花」の受け取りて手はそれを贈り物=花として認め、かざっている。素敵な歌です。大好きですこの歌。って詠み手に三回言っておいてください。

J 花に降る雨の静けさきらきらといのちほどけてゆくさくらばな
きらきらがちょっとうーん。何でしょう。嫌な言葉ではないのですが、「静けさ」と「きらきら」が武田信玄とくまモンくらいのどちらも好きなんですが、両者がいると「え?」ってなってしまうのです。下の句の いのちほどけてゆくさくらばなも好きですし、そのさくらばなという日常使わない言葉が詩情を出しているだけにどうしても、きらきらじゃなければダメなんだという理由が見つかりませんでした。下の句は好きですよ。

K 守っても守りきれないものがある カーネーションがシーツに咲いた
良くわかりませんでした。守っても守りきれないものがある。ということは相当な力が及んでいるのだと思いますが、下の句のカーネーションがシーツに咲いた。は自然描写、あくまでも自然現象として咲かされたではなく、咲いたですよね。その整合性が気になりました。

L ひらひらとさくら花びら花筏めだかの子らはお遊戯やめた
リズムですよね。リズムが素敵ですよね。このリズムのおかげって大きいなと思うのは、一つひとつ単語を見て行くと「さくら」「花びら」「花筏」「めだかの子」「お遊戯」と「花」という括りはあるのだけど、単語単独の強さで勝負ではなくて、繋がって全体で意味を成すと言うか、アホな例えで申し訳ないけれど、戦隊ヒーローものって5人組で、まあ赤がリーダーでピンクは女の子って決まっているけど、怪獣はたいてい一匹で地球に降り立つのですよね。5対1じゃ不公平じゃないか、ってならない。それは5人がそれぞれの長所を出し合って、危機を突破するからなんですよね。この歌を口に出すと、単語でぶつ切りにされた言葉をからエキスなようなものが染み出てきておでんのように全体で一つのリズムを生み出していて、良い歌だなあって思うのですよ。ええ。

M 吹く風に枝垂れ桜はゆれておりリズムは淡い1/f
1/fを知らなくて、グーグルで調べるのもどうかなと思ったのですが、この歌の肝が1/fだとしたらこの1/fに至る前の言葉と、すこし乖離しているのではないかなと思いました。枝垂れ桜はゆれており というフレーズは発音すると気持ちいいですね。好きです。

N さいたなら枯れてゆくだけ心咲さんさかなくていいこころなんかを
心咲さんって「こころさかさん」ですかね。すると前半の心咲さんと最後のひらがなでの、こころなんかをは意味合いが異なると言う事ですよね。うーむ。最初のひらがなの、さいたならと心咲さんも異なる。うーむ。思うに、(あなたへの)感情は満たされたなら(さいたなら)あとは枯れてゆくだけなのだから、こころという言葉の範疇に留める必要は無いのだよあなたへの感情は、ととりました。詩情がありますよね。独特です。この「sa」という音節も好きですね効いてますよね。「sa」って発音はすぐに消えてしまいますよね。「ma」なんかと違って。言葉って凄いなと思います。この歌も。

O ほろよいのお花畑で落ち合ってこのまま二人どこか消えたい
ほろよいのお花畑ってのは人間が酔っぱらっているのか、お花畑が酔っているのかってなりますよね。どっちなんでしょう。深大寺植物園のバラ園とか見ているとお花畑が酔っているな、って思います。ほろ酔いということは、歩くことも立つことも出来ないって訳じゃない、ちょっと気持ちよくなって、歌とか唄ってしまう、それくらいの酔いなのでしょう。「このまま二人どこか消えたい」のだから、やはりお花畑が酔っていて、その酔いの力、勢いを借りてという果たせぬ感情を、という感じなのでしょうか。「落ち合って」って良いですね。今、落ち合ってって言いますかね。新宿区に「落合」ってありますけど、神田川が落ち合って落合なんですね。そう言えば「待ち合わせ」も使わなくなったな、携帯電話でピっですもんね。うーん。「落ち合って」。大事な人なのでしょう。落ち合う相手は。

P 口々に春うたうべく咲く花のひとつを選りて耳もとに挿す
春らしい歌ですよね。挿すと漢字で書くとどうしても「ぶすっ!」というイメージがわいてきます。リズムも言葉の運びも好きなのですが。

Q 花びらを涙でつけて待っている 遠くからでも気がつくように
演歌のような歌ですよね。実際にいそうでいないですよね、花びらを涙でつけて待っている人。コミカルなのですが、至って真剣に花びらを付けている。遠くから気づいた人がどういう反応をするのでしょう。僕なら笑ってしまうかなあ、うーん。何で泣いているのでしょう?

R 桜たちおかえりなさい旅ならばかなたの春よいってらっしゃい
うーん。来年の春に桜の花が咲くまでのしばしの旅へいってらっしゃいということでしょうか。非常に淡くて描写が素敵な歌です。

S 薄桃の君がまっすぐ行けるよう道しきつめる花びらになる
桃って上手く皮剥けないんですよね。自分で桃の皮剥くと分かりますが、原型留めないし、果汁で手が汚れるし、あの産毛や色つや、あれは人間みたいですよね。そう考えると「薄桃の君」という描写分かりますね。傷つき易い、というよりは、「花びらになる」モノ(人)は傷つけたくないのでしょう、薄桃は。花びらで守るのでしょう、「まっすぐ行けるよう」に。聖母マリアのようです。

T この岸がどちらがわでもかまわない空ににじんでゆくさくらばな
この世とあの世でしょうか。下の句のひらがなが透明感があって、異世界へ誘うような響きがありますよね。浮遊感がある。好きな歌です。




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2013年4月17日水曜日

第5回空き地歌会 土屋智弘さん5首評


詠草のみで参加された土屋智弘さんの5首評です。
(※詠草のみの方には5首選5首評を歌会前にいただいています。)


A そよ風の裏切りにより花びらは着地するほかなかったんだよ
花びらはもっと飛んでいたかった。自由でいたかった。でも、吹き続けると言っていた風は急に止んでしまい、花びらは地に落ちるしかなかった。前向きで生きて行こうとしていた矢先に、何か梯子をはずされた苦さと悔しさが滲むような歌。「裏切りにより」の「~により」という表現がこなれていないように見えて効いているいると思う。

F 営業が出払った午後事務員のまどろみのなか睡蓮ひらく
のんびりした暖かい風景が浮かぶ安心できる歌。つかの間の非日常を感じるの中で、ゆるやかに時間が過ぎ、ゆるやかに花が開いて行く夢か現かわからない様子が心地よい。また、睡蓮という言葉で仏教的な雰囲気を味わわせてくれた点が個人的には好きである。

I 咲くことのない花ですとわたされた石をあなたは窓辺にかざる
咲くことはないと言われても、渡された人は咲くに違いないと信じているに違いない。信じているからこそ窓際に飾ったのである。そしてその窓際は日の当たる窓際だろう。希望と信念をもって何かに向き合おうとする心の強さ、あるいは渡した人と受け取った人との信頼の厚さを感じる。

J 花に降る雨の静けさきらきらといのちほどけてゆくさくらばな
花が開くのを促す催花雨を思わせる歌。「いのちほどく」は開花を表現したものだと読んだが、静かな雨に打たれて花開いてゆく様子を、抑えた表現に委ねていると思う。また、三句目以降すべてがひらがな表記であるのも、時の流れのゆるやかさを感じさせる。

O ほろよいのお花畑で落ち合ってこのまま二人どこか消えたい
花見の場面のように読んだ。にぎやかに楽しく花を愛でた後、その心地よいままでふたりでどこかへ消えて行きたいという素直な歌である。心地よさを少しでも長く味わいたいという望みがあふれている。


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2013年4月16日火曜日

第5回空き地歌会 河野麻沙希さん5首評

詠草のみで参加された河野麻沙希さんの5首評です。
(※詠草のみの方には5首選5首評を歌会前にいただいています。)


G 鮮やかな色響かせて咲き誇る好きという花降りそそぐ君
「色響かせて」といった感じに視覚を聴覚に変換する方法は古典的ではあるが成功している。

K 守っても守りきれないものがある カーネーションがシーツに咲いた
守りきれないものは処女、カーネーションは出血か。シンプルな構成だが、白いシーツに赤い血、あるいはカーネーションといった配置は視覚的に美しく、相対的に多数の読者の共感を得ることが期待できそうである。

L ひらひらとさくら花びら花筏めだかの子らはお遊戯やめた
Ra、hana、daなどの韻で畳み掛けており、韻律は秀逸。花びらやめだかの子らが繊細に動いている様子も音楽的で、古今調と言えるだろう。

O ほろよいのお花畑で落ち合ってこのまま二人どこか消えたい
お花畑のむせ返るような匂いはまさにほろよいのようであり、嗅覚により読者の共感を引き出すことに成功している。下句の願望表現に手あかがついているのは否めないが、ゴールまで全力疾走しているような潔さを感じ、好感を持った。

S 薄桃の君がまっすぐ行けるよう道しきつめる花びらになる
「薄桃の君」は何の比喩か。だが、それが分からなくても、画面いっぱいまっピンクの画像は圧巻。潔さに脱帽する。

★作者名はこちらからご覧いただけます。

第5回空き地歌会 木下龍也さん5首評

詠草のみで参加された木下龍也さんの5首評です。
(※詠草のみの方には5首選5首評を歌会前にいただいています。)


I:咲くことのない花ですとわたされた石をあなたは窓辺にかざる
どちらが異常なのかわからない。引っかかる歌でした。通常「石」だと認識するものを「咲くことのない花」と認識している第三者が異常なのか。それとも通常「石」だと認識するものについてつかれた「咲くことのない花」という嘘を見抜けない「あなた」が異常なのか。どちらにせよそれを素直に「窓辺にかざ」ってしまう「あなた」は観察者の目を通し、無垢な存在として浮かび上がる。「あなた」は天使のような存在なのだろうか。世界に対する認識が揺らぐような不思議な読後感のある歌でした。

P:口々に春うたうべく咲く花のひとつを選りて耳もとに挿す
神に気にいられた人は早死にする、神に愛されると長生きできないと言うが、この花も「春うたうべく咲」いたのに選ばれて死んでいる。そのひとつを自分の物にして耳もとに挿す主体に神の恐ろしさと美しさを感じました。

Q:花びらを涙でつけて待っている 遠くからでも気がつくように
涙に色があればいいのに というような歌を読んだことがあるのですがどなたのどんな歌であったか思い出せません。悲しみを演出して誰かに(たぶん好きな人に)気付いてもらいたい。しかも涙に色ではなくて花びらをつけるという過剰な自演。
この愛とか恋とかが人間を動かすときの馬鹿っぽいけど愛おしいエネルギーが僕は嫌いじゃありません。

S:薄桃の君がまっすぐ行けるよう道しきつめる花びらになる
光景は美しいなと思いましたが、「ハナミズキ」の世界観っぽいなとも思いました。「薄桃の」はとってつけたような感じもあります。

T:この岸がどちらがわでもかまわない空ににじんでゆくさくらばな
「岸」とは彼岸と此岸のことだろうか。こちらがわとむこうがわ。主体にはもともとないのかもしれないが「空ににじんでゆくさくらばな」の美しさがこちらがわにいることへの執着心をかき消してしまった。その一瞬をとらえたというよりその一時期をうまくすくいあげた歌だと思う。漢字に変換できる多くの文字がひらがなにひらかれていてやわらかなイメージを感じさせるとともに儚さのようなものも感じる。

 ★作者名はこちらからご覧いただけます。

第5回空き地歌会 野比益多全首評

 野比益多の全首評です。


A そよ風の裏切りにより花びらは着地するほかなかったんだよ
花びらが何の花なのかはどこにも書かれていませんが、なぜか桜のような気がします。「裏切り」とあるのがおもしろいですね。「そよ風」と「花びら」はこれまで良い関係であったのに「そよ風」が裏切ったという見方に独特の視点があると思います。事実で考えると花は寿命がつきて散っていくはずですが、強風ではなく「そよ風」程度で散ってしまう花のはかなさを認めたくないというような気持ちが表れているような気がします。散るという表現ではなく、「着地」という表現になっていることからも、美しいものが弱って命を失っていくことを認めたくないような目線が感じられます。最後は「だね」とか「です」で終えることもできたと思うのですが、「だよ」となっていることでその事実を不条理なことだと思って誰かに訴えかけたいというような意志が感じられてよいですね。事実を認めたくない幼さも表現されていると思います。こういう独自の目線があらわれている歌は好きだなあと思います。

B お隣のケンカを夜ごと聞かされる私の罪は何? 沈丁花
お隣のケンカを夜ごと聞かされるのはたしかにイヤですよね。自分がなにか罪を犯したことの罰としてそんな目に合っているのか?と作中主体は思っているようですが。そう言うときはだいたい自分に罪があるとは思ってなくて私は何もしてないのにイヤな目に合っていると言いたいかんじが多いかなあと。そんな愚痴のような独り言を「沈丁花」に向かって言っているということでしょうか。「沈丁花」は香りの強い花で、もしかしたらお隣の沈丁花なのかもしれませんね。ケンカの声も花の香もお隣から来る。存在感にあふれるお隣さんですね。ただこのカタチだとやっぱりちょっとただの愚痴のように感じてしまうので、読者としての私にはあまりピンときませんでした。

C 折れさうな身体のお兄さんの手に仕事の都合といふ花言葉
うーん。すみません、意味があまり読み取れませんでした。折れさうな身体のお兄さんがお花を持っているということでしょうか?すごくムリやり意味をとろうとして読んでしまうと、花屋のお兄さんが、大切な人との時間を持とうとせずに花屋で仕事をしていて、その手にまたまたま持っている花を「仕事の都合といふ花言葉」と作者は見ているというかんじでしょうか。でもこの読み方はムリやりすぎかなあ。。「折れさうな身体のお兄さん」がどんな存在なのかがもうちょっとわかるとよいかなあと。また、「仕事の都合といふ花言葉」、もしかしてそういう花言葉があるのかな?と調べてみましたが、ざっと探したところではでてきませんでした。(歌会でお兄さんの手を花に見立てているんじゃないかという意見を聞いて、なるほど!と思いました。)

D スギ花粉噴射スプレー目と鼻に ヒロ先輩に卒業祝い
ヒロ先輩は花粉症なんでしょうか。よっぽどイヤな先輩だったんでしょうね。卒業の時期と花粉の飛ぶ時期が重なっているから出た発想なのでしょう。わたしも花粉症なのでこれやられたら死にそうです。。なるべく人に嫌われないように生きていこうと思いました。

E 桜舞う恋を奏でる曲の音と香り残して君に届けと
すみません。春の恋の歌だということはなんとなくわかるのですが、意味があまり読み取れませんでした。桜が舞っているんですよね。「恋を奏でる曲の音」と「香り」をどこに残してなにを君に届けたいのでしょうか?

F 営業が出払った午後事務員のまどろみのなか睡蓮ひらく
平日の午後、静かな職場の様子がよく伝わります。営業と事務員の関係もリアルでよいですね。好きだなあと思うのですが、まどろみと睡蓮が近すぎるような気もしないでもないです。もしかしたら「まどろみ」と言わずに伝わるかもしれませんね。むずかしいかな。。「まどろみ」と言わないと成仏しちゃったみたいになっちゃいますかね。。

G 鮮やかな色響かせて咲き誇る好きという花降りそそぐ君
どういう情景だろう?と不思議に思いました。君に好きという花が降り注いでいるんですよね。「降りそそぐ君」というところで作中の主体が君を見ている目線が客観的な気がするので、主体が君に好きという花を降り注いでいるようなかんじがあまりしませんでした。というわけで結婚式などで花を撒くようなところをイメージしました。

H (わたしの部屋のあなたの花が咲きました)わたしのあなたが告げた春
「わたしのあなた」という表現がなにか怖さを感じさせます。あなたはもしかしたら実在しないのかもしれない。「わたし」はストーカーなのかもしれない。。定型からずいぶんズレているのも不安感をかんじさせるためなのでしょうか。ただ( )の使い方含め、成功しているかどうかは疑問でした。

J 花に降る雨の静けさきらきらといのちほどけてゆくさくらばな
桜が雨で散り始めていく様子でしょうか。とてもきれいな情景が目に浮かびます。桜の花は花びらが一枚ずつ散っていきますよね。それをいのちほどけてゆくと表現したところがよいなあと思いました。よいと思うのですがふつうと言ってしまえばふつうかなあと。(なにかオリジナルな視点とかひっかかりのようなものがあったらいいなと思ってしまうのはただたんに私の個人的な好みのような気がします)すみません!

K 守っても守りきれないものがある カーネーションがシーツに咲いた
カーネーションが血だとすると、性的なことでしょうか。他の読み方できるかなあ。考えてみたけれど浮かびませんでした。性的なことだとすると、守りきれなかったことをカーネーションとして美しく表現していることに違和感をかんじました。

L ひらひらとさくら花びら花筏めだかの子らはお遊戯やめた
めだかの学校の歌ですね。「ら」が続いて、音がきれいだなあと思いました。内容は特に伝えたいことがあるというかんじではない気がしますが、歌に絡めてうまくまとめているなと思いました。

M 吹く風に枝垂れ桜はゆれておりリズムは淡い1/f
1/fってなんだかよくわからないですけど、自然界にある気持ちのよいゆらぎみたいなものでしたよね、たしか。「吹く」と「風」、「ゆれる」と「リズム」と「1/f」など近い言葉が多いなあと思いました。枝垂れ桜がきもちよく揺れているということを1/fというめずらしい言葉をつかって言ってみましたというかんじがして、それじゃいけないのか?と言われるといけなくはないと思うのですが。。なにか物足りないなあと思ってしまうのは好みの問題かもしれません。すみません。


N さいたなら枯れてゆくだけ心咲さんさかなくていいこころなんかを
この歌は、「心咲さん」で「みさきさん」という人名と読むということにぜんぜん気付かなくって、まったく読み解けませんでした。それがわかってからも、「さかなくていいこころなんかを」の意味の取り方が難しいですね。まず心が咲くってどういうことを指しているのかが。。もし難読ネームへの批判だとすると、うーん。個人的には、うーん。どうなんだろう。でももしかしたら作者は、名前のプレッシャーのことを言っているのかなあ。多かれ少なかれすべての名前には意味があって、それをプレッシャーと感じる人もいると思うので、名前と関係なく生きていっていいんだよ。っていう意味だったりするのかもしれませんね。

O ほろよいのお花畑で落ち合ってこのまま二人どこか消えたい
「ほろよいのお花畑」というのはお花がたくさん咲いていて酔うように気持ちのよいお花畑という意味でしょうか。そういうお花畑で落ち合ってどこかに二人で行ってしまいたいという恋人同士の歌ですね。きっと。歌の意味はよくわかるのですが、言葉のチョイスがちょっと不思議だなあと思いました。「ほろよい」「お花畑」「落ち合って」「どこか消えたい」、なんだろう?わざとベタにしているというか。。その狙いがよくわからないなあと思いました。

P 口々に春うたうべく咲く花のひとつを選りて耳もとに挿す
「口々に春うたうべく」が「咲く花」にかかっているのか、「咲く花のひとつを選りて」にかかっているのかで悩みました。えっと、つまり、「口々に春うたうべく」の主語が花なのか、人なのかってことですね。どちらでも良い歌だと思うのですが。「口々に春うたうべく咲く花」を耳もとに挿すのが一人であるよりも、口々に春を歌うために複数の人が花をひとつずつ選んで耳もとに挿しているほうが私は好きです。春の女神達が花を選びながら歩いているようなかんじがして。口と耳だからもう一つの読み方のほうで作られたのかもなあとは思いつつ。

Q 花びらを涙でつけて待っている 遠くからでも気がつくように
最初はどういうことかさっぱりわからなかったのですが、よくよく考えてでてきたのが、悲しいけれど道化を演じているという場面かなあと。ピエロの目元には涙が描かれていますよね。あんなかんじで。そこになかなか行き着かなかった理由は「遠くから手を振ったんだ笑ったんだ 涙に色がなくてよかった(柳澤真実)」という歌を知っていたので、そっちにひっぱられちゃったのかなあと。歌会前にこういう読みをしていたら票を入れていたような気がします。すみません!!

R 桜たちおかえりなさい旅ならばかなたの春よいってらっしゃい
咲きはじめた桜におかえりなさいと言っているのですね。桜たちが旅をしているというなら次の春へ向かっているんだろう、いってらっしゃい。という意味でしょうか。その意味だとしたら、もう少し言葉を整理できるような気がしました。

S 薄桃の君がまっすぐ行けるよう道しきつめる花びらになる
歌会前には歌の意味がよくわかりませんでした。「薄桃の君」が何を指すのかとか、「花びらになる」ってどういうことかとか。「薄桃の君」が傷つきやすいもの、赤ちゃんを指すのでは?というような話がでて、ようやくわかりました。君を傷つけないように道に迷わないように自分は花びらとして道にしきつめられてもよい。というような愛の歌なんですね。というわけで意味はつかめたような気がするのですが。作中主体は愛にあふれた自己犠牲ができる人なんですね。

T この岸がどちらがわでもかまわない空ににじんでゆくさくらばな
心象風景と実際の風景を重ね合わせているのかなと思いました。作中主体は心象風景としての水の中にいて溺れていたんじゃないかと。溺れてやっとたどりついた岸は、それはどちらがわでもかまわないですよね。そんな心の中から見上げたさくらは涙ににじんで見えたのかなあと。

Aの評から順に息切れしていくさまが文章量でよくわかりますね。。すみません。。
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★作者名はこちらからご覧いただけます。

第5回空き地歌会 嶋田さくらこさん全首評

嶋田さくらこさんの全首評です。

●嶋田さくらこさんが編集長をつとめてらっしゃる
短歌なZINE「うたつかい」、みなさまぜひぜひ。

《うたつかい次号は7月号の発行予定。
 自由詠 5首1作 テーマ詠「植物」〆切は2013年5月22日だそうです。 》

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A そよ風の裏切りにより花びらは着地するほかなかったんだよ
一見やわらかく(桜の)花が散る様子ですが、「花びら」は人間ととりました。誰かの「裏切り」により思わぬ結果に「着地」させられたというアイロニー。結句の語尾からは虚しい感じも。

B お隣のケンカを夜ごと聞かされる私の罪は何? 沈丁花
嘆きを訴える相手が「沈丁花」である理由を探しました。花は人の顔のようでもあるし、低木なのでそこに佇んでいる風情も。返事をしない、いい香りのする美しい女友達。独り暮らしを「私の罪」と読みました。「お隣」を疎みつつ羨望も。

C 折れさうな身体のお兄さんの手に仕事の都合といふ花言葉
「お兄さん」が茎が細くて長い花にたとえられていておもしろい。いわゆる現代の草食系イケメン風男子をイメージしました。口ではっきり断ることができないので「花言葉」で伝えようとしている。空気読めってことでしょうか。巧妙です。二番目に好きな作品。

D スギ花粉噴射スプレー目と鼻に ヒロ先輩に卒業祝い
わたしは花粉症ではないけど、イメージしすぎて読んだ瞬間からむずむずしました。「ヒロ先輩」はよほど嫌われていたのか、それともかわいさ余って憎さ百倍なのか。「ヒロ先輩」への興味をかきたてられました。が、あとはどういう意味がこめられていたのか、読みきれませんでした。

E 桜舞う恋を奏でる曲の音と香り残して君に届けと
年季の入った片想いを想像しました。一首の中にダンス、音楽、香り、と視覚・聴覚・嗅覚がつまっているんですね。少し盛り沢山すぎるように感じましたが、ゴージャスです。オペラのマエストロ風。「奏でる」「曲」「音」の3語が続くのは、短歌としては字数上もったいないように思いました。

F 営業が出払った午後事務員のまどろみのなか睡蓮ひらく
春の午後、人がいなくなった事務所で仏さまの世界(夢)に昇天(居眠り)してしまった事務員の安らかな顔を思い浮かべました。「まどろみ」の漢字表記からの「睡蓮」の流れ、決まったオチに導かれてしまうので短歌としては少し残念な気持ちになりました。

G 鮮やかな色響かせて咲き誇る好きという花降りそそぐ君
片想いの相手を盲目的に崇拝する恋のイメージ。失恋するのが怖いので、遠くから「君」を眺めるだけの、恋に夢をみている人物像が浮かびました。情景が美しいので、現実味のうすい浮遊感。「好き」という言葉ではない方がよいのではないかと思いました。

H (わたしの部屋のあなたの花が咲きました)わたしのあなたが告げた春
「わたし」と「あなた」と「花」がくるくる回り、迷子にさせらました。結句の音がかけているのはわざとですか?歌意はあまりよくわからないけれど、不思議な余韻があって好きな作品でした。

I 咲くことのない花ですとわたされた石をあなたは窓辺にかざる
3人の登場人物の関係に物語を感じます。「石」は望みのない希望、暖かい場所に置いても決して芽吹かない。無駄なことをしている「あなた」を見つめるのはなぜか。また、「あなた」は「かざる」とあるので、自戒の意味でしょうか。

J 花に降る雨の静けさきらきらといのちほどけてゆくさくらばな
桜の咲くようすを「いのちほどけてゆく」と表現されているのがすてきだと思いました。「きらきらと」という表現は、わたしの中では音がする言葉なので、「花に降る雨の静けさ」と矛盾が生じてしまいました。

K 守っても守りきれないものがある カーネーションがシーツに咲いた
初体験のシーンと読みましたが、主体が女の子だとすると、痛みの表現がなく客観的すぎるような。すごくクールな子なのか。もしかして男の人目線なのか。カーネーションの形状と赤さを出血に見立てるのはうまいと思いました。

L ひらひらとさくら花びら花筏めだかの子らはお遊戯やめた
最初、童謡のひと節のような、楽しい歌と感じました。後から、人間世界にあてはめて、桜の咲く時期は、みんな花見がメインで仕事もてにつかなくなるよね、みたいな寓意を勝手に感じました。

M 吹く風に枝垂れ桜はゆれておりリズムは淡い1/f
1/fがわからなかったのですが、webで調べたら「1/fゆらぎ」ですぐにヒットしました。家電や照明の売り文句なのですね。自分が一般的な認識のある言葉を知らないばかりに、この歌の大事なところを味わえなかったことがとても残念でした。

N さいたなら枯れてゆくだけ心咲さんさかなくていいこころなんかを
「さいたなら枯れてゆくだけ」がよく聞く歌謡曲のフレーズのようなので、「心咲さんさかなくていいこころなんかを」にこそ、この歌の肝心なことがこめられているのでは、と思いましたが、3句めがどう読むのかわからなくて、歌の中までたどり着けませんでした。

O ほろよいのお花畑で落ち合ってこのまま二人どこか消えたい
「ほろよいのお花畑」が、最初、脳内の妄想イメージの象徴なのかなと思ったのですが、タイムラインで、「お花畑」は「トイレ」の意味では、という牛さんのツイートを読んでから、この歌が一気に現実味を帯びて、いろいろ想像してしまいました。

P 口々に春うたうべく咲く花のひとつを選りて耳もとに挿す
「口々に春うたうべく」から、たくさんの小さい花が満開のイメージを受けました。桜、とは書かれてないのですが、桜のイメージ。いったん桜をイメージしてしまったので、桜の花の色の淡さから、花のうた声はちいさいので、耳元に挿したんだろうと思いました。何回も読んでいくうちに、透き通る音と色が湧いてくる世界観。

Q 花びらを涙でつけて待っている 遠くからでも気がつくように
ピエロをイメージしました。何を気付いてほしかったのか、もう少しヒントが欲しい気持ちになりましたが、読んだ人それぞれの胸に秘めたメッセージでよかったでしょうか。

R 桜たちおかえりなさい旅ならばかなたの春よいってらっしゃい
「桜たち」が「おかえりなさい」で、春がおかえりなさい、の意味で読んだので、「かなたの春よいってらっしゃい」の意味がとれずに、苦しんでしまいました。

S 薄桃の君がまっすぐ行けるよう道しきつめる花びらになる
卒業式のイメージをしました。「薄桃の君」を卒業生、「花びらになる」のは、在校生や先生たち。そして、ここでもまた、「花びら」は桜のイメージをしてしまったので、「薄桃の君」の「薄桃」はなにがふさわしいだろう、とぐるぐるしてしまいました。最終、花道は赤い絨毯に切り替えてイメージし直しましたが、なんとなくふに落ちない感じを残してしまいました。

T この岸がどちらがわでもかまわない空ににじんでゆくさくらばな
一番好きな歌。桜の白に近いピンクとよく晴れた春の空の薄いブルーの境界がなくなるように、自分の立っている場所があやふやになる感覚。「かまわない」と、願望を手放した後の心の自由。「岸」という表現から世の中や他人に流されることの葛藤への諦感も。
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第5回空き地歌会 ユキノ進さん全首評


ユキノ進さんの全首評です。

●ユキノ進さんは、新潟で空き瓶歌会を開催されています。

【第3回空き瓶歌会のお知らせ】今度の空き瓶歌会は6月15日(土)になんと山形市で行います!参加希望の方は5月25日(土)までに空き瓶歌会のツイッターアカウント( @akibinkakai )へのDMまたはakibinkakai@yahoo.co.jpまでご連絡ください。歌歴にかかわらず誰でも参加できます。ぜひぜひ!

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A そよ風の裏切りにより花びらは着地するほかなかったんだよ
素直に読めば、「小さな無力な者への優しい視線」を詠んだものですが、そんな単純な歌なのかなという疑問があります。「そよ風の裏切り」という甘ったるい言葉をアイロニカルに使おうという野心的な意図が作者にはあったのではないでしょうか。素直に読めば平凡な着想の普通の歌です。アイロニカルに読ませるためには、ちょっと毒の部分がわかりにくい。

B お隣のケンカを夜ごと聞かされる私の罪は何? 沈丁花
おそらく現実に起きている自身の身の回りのできごとを歌にしたのだと思いますが、むき出しの悩みをそのまま提示しても読者は作者との温度差にとまどうばかりです。でも結句の「何?沈丁花」はいいですね。「ジンチョウゲ」のさえない語感。なんともしょぼくれた感じ。ああ、ジンチョウゲ。

C 折れさうな身体のお兄さんの手に仕事の都合といふ花言葉
今回の中でもっとも歌意がつかめなかった歌ですが、想像力を開く魅力的なフレーズがふたつあります。「折れさうな身体」と「仕事の都合といふ花言葉」。後者が特に思わせぶりで、読者に意味はわからないけれど作者は過剰な意味を込めているように感じます。刺激的なワードである一方で、作者だけがわかってるぞ、という雰囲気に鼻白む感もしました。

D スギ花粉噴射スプレー目と鼻に ヒロ先輩に卒業祝い
花粉によって嘘の涙と鼻水を出して、卒業する先輩との別れを演出するという内容でしょうか。「スギ花粉噴射スプレー」のユニークなキーワードのおもしろさをどう評価するかがポイントですね。ちょっと狙いが見えすぎている感じが僕はしました。

E 桜舞う恋を奏でる曲の音と香り残して君に届けと
「桜舞う」「恋を奏でる」「君に届け」といういわゆるクリシェが連続します。クリシェだからダメだっていうのは批評としてはダメだと思うのですが、クリシェを前にすると語る言葉をなくすのも事実です。読者としては、クリシェがあると歌の表面をなぞっただけでそれ以上掘り下げ甲斐がないように見えてしまうのです。批評になじまない、ということですかね。好き嫌いで言えば、この歌を好きな人はたくさんいると思います。

F 営業が出払った午後事務員のまどろみのなか睡蓮ひらく
う〜ん、地味な歌だ。(空き地注:ご自分のお歌ですね。笑)

G 鮮やかな色響かせて咲き誇る好きという花降りそそぐ君
「色響かせる」「好きという花」というふたつの言い回しが、この歌のへそですね。「色響かせる」は美しい。「好きという花」はなんというか重いかなあ。べたつく感じがします。感覚的な物言いで申し訳ないですが。

H (わたしの部屋のあなたの花が咲きました)わたしのあなたが告げた春
これは歌意がわかりません。解読しても、きっとたいしたことではないと思うので、わからないほうがいいのでしょう。短歌は歌であり詩なので、散文的な意味とは別な魅力があるものだと僕は考えています。この歌は「a」の音が繰り返す開放感と、リズムの楽しさが魅力です。

I 咲くことのない花ですとわたされた石をあなたは窓辺にかざる
精神を病んだ人とその恋人の報われないやりとり、と僕は読みましたが、他の読み方もたくさんあるでしょう。不条理劇の1シーンのようですが、観客を拒絶するものではなく、多くの想像のヒントを置いたドラマになっています。歌が想像力を開く装置になっているところがすばらしいと思いました。

J 花に降る雨の静けさきらきらといのちほどけてゆくさくらばな
「きらきらと」がストレートすぎて幼稚に見える危うさがありますが、いのちのはかない感じをうまく示しているのではないでしょうか。「いのちほどけてゆく」という表現も美しいですね。その一方で「いのち」を引き出すためのモチーフとしての「桜」は素直すぎると思います。この歌は初句ですでに「花」が出ているので、結句で再度「さくらばな」としなくてもいいんじゃないでしょうか。

K 守っても守りきれないものがある カーネーションがシーツに咲いた
これは歌会の会場ではいろいろな解釈があったようですが、僕は処女喪失だと読みました。ちょっとそれ以外に読みようがない。シーツについた血をカーネーションとした比喩がこの歌のポイントでしょう。うまい喩なのですが、あまりにぴったりすぎて比喩としての納得感はあるけど意外性がないと思いました。

L ひらひらとさくら花びら花筏めだかの子らはお遊戯やめた
リズムもいいし楽しい歌です。花筏って言葉もいいですね。上句と下句の意味が分断されていますが、そこで歌のリズムもちょっと途切れてしまうようで残念です。
それとも「花びらが落ちてきて、気をとられてめだかたちはお遊戯を中断した」という意味の続いているのかな。

M 吹く風に枝垂れ桜はゆれておりリズムは淡い1/f
「1/f」が思わせぶりなのですが、歌意はシンプルでわかりやすいです。わかり易すぎるのがこの歌の欠点かもしれません。1/fのリズムの風というのが気持ちのいい魅力的な光景として立ち上がってこないのです。エアコンか何かの広告で聞き慣れた言葉だからですかね。白いリビングの薄っぺらい風景が見えてきます。

N さいたなら枯れてゆくだけ心咲さんさかなくていいこころなんかを
これはグーグルで調べて、心咲(みさき)というのが現代の割とポピュラーな名前だと知りました。心咲が人の名前だとわかれば、これはシンプルなわかりやすい歌です。歌意がわからないうちはおもしろい歌だと思ったのですが、わかってしまうとそれ以上の深みやおもしろみがありません。まあ、読者とは勝手なものです。
人の名前の中で心が咲いたって枯れたってほんとうはどうだっていいことなので、歌意がわかった後の共感がしにくいんですね、きっと。

O ほろよいのお花畑で落ち合ってこのまま二人どこか消えたい
「お花畑」が飲み屋のお手洗いを指すのだということを、ユーストでの誰かの発言で知りました。そう聞いて読むとなかなか毒もあっておもしろい歌です。静かなあかるい花畑と、騒々しい居酒屋の一角、というイメージの振幅。

P 口々に春うたうべく咲く花のひとつを選りて耳もとに挿す
これは「選りて」という言葉の選択ひとつが成功のポイントだと思います。「ひとつを選び」でもよかったところを「選りて」とすることによって、情景が寓話的なものとして広がります。こういうのが歌の力であり、言葉の力なんですよね。

Q 花びらを涙でつけて待っている 遠くからでも気がつくように
「花びらを涙でつけて待っている」というちょっといじましい人物のあり方。共感できるか引くかの二者択一になる歌ですね。僕はちょっとダメなんですが、好きな人はこの歌すごく好きなんじゃないでしょうか。

R 桜たちおかえりなさい旅ならばかなたの春よいってらっしゃい
「おかえりなさい/いってらっしゃい」というループ構造と、「a」の音が続くことによる風通しのよさ。歌がとても大きな世界を組み立てています。これも「旅ならば・・」以降の部分は意味はわからないのですが、わからなくていいのだと思います。

S 薄桃の君がまっすぐ行けるよう道しきつめる花びらになる
「薄桃の君」がわかりません。これはたぶん多様な解釈のできる言葉ではなく、何か特定のものを示しているのだと思うのですが。作者の説明不足というより読者の僕の無知かなあ。美しい語感ですけどね。あと四句の「道しきつめる」が助詞を省いていて窮屈なのが気になります。開放感のある光景を描こうとしているのだと思うので、ここは整理してほしいところです。

T この岸がどちらがわでもかまわない空ににじんでゆくさくらばな
これは彼岸/此岸をイメージさせる歌です。その生死の境界線で「どちらがわでもかまわない」という言い切りがかっこいい。その一方でJと同様に、命を引き出すモチーフとして桜を使うのはちょっとありきたりかもしれません。またJもこのTも結句が「さくらばな」の体言止で終わっています。なんか演歌っぽいんですよね。「さく〜ら〜ばあああ〜なあああ〜」ってこぶし利かせながら歌のエンディングとなる光景が目に浮かびます。


なんか勝手なこといろいろ書きましてすみません。
書いていると自分の歌の読み方が一面的だなあと気づかされます。

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第5回空き地歌会 田中ましろさん全首評

田中ましろさんの全首評です。

●田中ましろさんが私財を投げ打って作る短歌フリーペーパー「うたらば
●田中ましろさんに利益がでますように!スーツ男子グラビアが話題の「短歌男子
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A そよ風の裏切りにより花びらは着地するほかなかったんだよ
花びらの持つ未来の選択肢として「着地」以外に何があったのでしょうか。そよ風が裏切っても裏切らなくてもいずれは散るのが花びら。その認識が理解の速度を遅くしているような気がします。「そよ風」と「裏切り」という言葉のかけ合わせは新鮮に感じましたが、結句の「だよ」という言いまわしなどは少し勿体なく思いました。惜しい。

B お隣のケンカを夜ごと聞かされる私の罪は何?沈丁花
結句の「沈丁花」が唐突でそれをよしとするかがポイントでしょうか。計算のうえに置かれていると思ったので沈丁花を調べたのですが花言葉は「栄光」「永遠」「不老長寿」とどうもうまくつながらず。部屋の中で育てるようなものでもなく。うーん。一首の中でちょっと浮いてしまった印象です。僕の読み不足かな。すっきりできる読みが出るのに期待します。

C 折れさうな身体のお兄さんの手に仕事の都合といふ花言葉
手を一輪の花に見たてているんですね。細い腕を茎に見たてて。その先端に咲く手のひらが花。「お兄さん」という他人感あふれる言い回しが効いてます。その人に対して作者はとくに特別な感情を持っていないのでしょう。たんたんと人を観察してそれっぽい花言葉をつけていく遊びをしている主体。とても好感が持てました。

D スギ花粉噴射スプレー目と鼻に ヒロ先輩に卒業祝い
固有名詞「ヒロ先輩」がくせものです。ヒロ先輩、どんな人なんでしょう。もうひとつ、「スギ花粉噴射スプレー」もくせものです。スギ花粉「を」噴射するんですよね。そんな商品はおそらく実在しません。そんなくせものたちが蔓延って、主体の行動に共感する情報が足りず読者を置いてきぼりにしてしまっている印象です。おそらく作者の頭では突飛な行動の理由も含め何らかのストーリーがあるのでしょうけれど…

E 桜舞う恋を奏でる曲の音と香り残して君に届けと
文法部分の弱さがまず気になりました。最初は「桜舞う/恋を奏でる曲の/音と香り/残して/君に届けと」と切りましたが迷う点はいくつもあります。「桜舞う」で切っていいのか。「香り」は「桜」の香りなのか、あるいはわざわざ「曲の音」と書いていることも考えると「恋を奏でる曲の」香りなのか。このあたりの不明瞭な修辞関係によりとても複雑な構造になってしまっています。内容もすこしベタですが、なによりまず自分の望んでいない読まれ方をしないようご注意を。

F 営業が出払った午後事務員のまどろみのなか睡蓮ひらく
睡蓮は昼間開いて夜は閉じる性質があるんですよね。「睡眠する蓮」で「睡蓮」。結句の「睡蓮ひらく」は何らかの心理描写なのではないかと思ったのですが残念ながら読み解けませんでした。「まどろみ」からの連想で出てきた単語なのかな。閑散とした事務所にぽつんと残されて大して仕事もない事務員の午後、というイメージから睡蓮への飛び方。飛ぼうとされたのなら飛び方が少し中途半端だったような印象です。

G 鮮やかな色響かせて咲き誇る好きという花降りそそぐ君
4句目の甘ったるさが鼻につきました。「好き」でお腹いっぱいのところに花まできちゃうともう。あと、その花が咲き誇っているのか、降りそそいでいるのか。相反する状態がひとつの名詞に掛っているように思えたのでここも改善できる点ではないかと思いました

H (わたしの部屋のあなたの花が咲きました)わたしのあなたが告げた春
「花が咲く=春になる」と思えばパーレンの中と内容と下句が同じことを繰り返し言っているだけのように見えました。花をあなたと思い込んでいる執着心の怖さ、と読むこともできるかもしれませんが、そこまでの湿っぽさは感じられません。全体が77585と破調ぎみなのも気になります。結句が字足らずなので整えれば定型におさめられた可能性は大いにありますね。

I 咲くことのない花ですとわたされた石をあなたは窓辺にかざる
好きな人や信頼している人から渡されたものならどんなものでも盲目的に信じてしまう。その一例としての「咲くことのない花」=「石」。この2物はイコールで結ぶのにちょうどよい距離感だと感じました。窓辺にかざられた石をあなたはうっとり眺めたりしちゃうんでしょうね。全体をあえて客観的に見ている語り口もよかったです。第三者だからこそ冷静に見られる現象でもあるでしょうし。

J 花に降る雨の静けさきらきらといのちほどけてゆくさくらばな
花を散らす雨の様子は過去にも何度も詠まれてきた場面ですね。シーンの切り取り方には既視感がありますが下句の「いのちほどけていくさくらばな」という表現には惹かれるものがありました。「きらきらと」はちょっと蛇足かなぁ。

K 守っても守りきれないものがある カーネーションがシーツに咲いた
もしや「おねしょ」と「カーネーション」を掛けてるのか。と思いましたがカーネーションは赤いのでこれは血と思いたいです。生理用品の広告でよく「守る」と使われているのでいわゆる「多い日」のことなんじゃないか、と。子に関係のある生理と母を連想させるカーネーション。読みにかなりの想像が入りましたが、いい歌だと思いました。これで読みが全然違ったら超恥ずかしい。

L ひらひらとさくら花びら花筏めだかの子らはお遊戯やめた
「めだかの学校」を下敷きにした歌ですね。リズムよく上の句をまとめてあるんですが、助詞を抜いて単語を羅列したその軽快さがやや幼稚な印象に転んでしまっているように思います。単なる好みかもしれませんが、シーンが美しすぎてリアリティに欠け、わざとらしく感じたのも気になりました。つくられた感、というのでしょうか。

M 吹く風に枝垂れ桜はゆれておりリズムは淡い1/f
1/fゆらぎって扇風機とかについているあれですよね。自然界のゆらぎに近いんでしたっけ。そこにつく形容詞「淡い」はすこし違和感がありました。あと、1首を通して作者が伝えたいことが見えにくいのも気になりました。状況説明に終始してしまうと「だからどうしたの?」と読者に思われる危険が高くなります。自然の風に吹かれている枝垂れ桜なので1/fゆらぎで特に驚きがなかったのが正直なところです。

N さいたなら枯れてゆくだけ心咲さんさかなくていいこころなんかを
3句目以降の意味が取れませんでした。根本的なところで。「心咲さん」は送り仮名「か」が抜けているのでしょうか。57777でしょうか。もしかして「心咲さん」で「みさきさん」などといった人の名前?だとしたらルビがないとかなり難読です。すみません、何度読んでも歌意が取れなかったのでコメントはパスさせてください。

O ほろよいのお花畑で落ち合ってこのまま二人どこか消えたい
「このまま」ですから今まさに会ってるんですよね。ほろよいで、お花畑で。でも願望なんですよね。消えるに消えられない障壁がある二人。ほろよいなんかでは無理なんでしょうか。泥酔なら。そういう話ではないか。駆け落ち的な設定はドラマチックですが過去に何度も詠まれていて既視感があります。シーンの選び方や人物設定にもう少しオリジナリティがあれば、と思いました。

P 口々に春うたうべく咲く花のひとつを選りて耳もとに挿す
結果として耳もとで花が春を歌ってくれている心地よい状況に。一面の花が口々に春をうたっている草原が浮かんでそこに立つ主体。とても美しい場面です。個人的には好きな歌ですが、その景色を美しいと感じられなかった人にはまったくひっかからない可能性はあるように思いました。美意識で評が分かれる、というか。

Q 花びらを涙でつけて待っている 遠くからでも気がつくように
どこにつけたのでしょうか。瞼か、額か、頬か。あるいは壁や扉か。そのたった1点の具体がないがために想像をうまく広げられませんでした。下句が説明的なのもすこし気になります。

R 桜たちおかえりなさい旅ならばかなたの春よいってらっしゃい
3句目の「旅ならば」の意味がとりにくかったです。下句で「かなたの春」ともう遠くにいる春にあえて「いってらっしゃい」と声かけしている点も気にはなるんですが意味はとれず。漠然としていてふわっと流された印象です。

S 薄桃の君がまっすぐ行けるよう道しきつめる花びらになる
薄桃の、は頬の色でしょうか。親が小学校の入学式に向かう子を見て詠んだ歌という読みました。子にまっすぐ育って欲しいがために自分の身を犠牲にする親心。花びらは踏まれて汚れてしまいます。献身的な一方ですこし狂気にも満ちている感じもうっすらと。好きです。

T この岸がどちらがわでもかまわない空ににじんでゆくさくらばな
岸が暗示するのは生と死。気がつくと主体は岸にあおむけに寝転んでいて開いた目に飛び込んできた空とさくらの花弁。自分が生きているのか死んでしまったのかすら一瞬どうでもよくなるような美しさの中にいたのかなぁ、と想像で補いつつ読みました。「さくらばな」がJのお歌と単語の位置までかぶったのはちょっとショックですね。2首を比べるならこちらのお歌の方が好みです。

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★作者名はこちらからご覧いただけます。


2013年4月9日火曜日

第5回 空き地歌会 テーマ詠「花」選歌結果

 ★みなさまの全首評(参加者以外の方は20首・参加者はご自分の歌を抜かした19首)
    をお待ちしています。
・Twitterの空き地歌会アカウント(@akichi_kakai)へ一度リプライください。
 DMで送り先のメールアドレスをお知らせします。
・締切は4/15(月)24:00。締切後にまとめてこちらのブログにアップさせて
 いただきます。(締切後も受付けますが、なるべく一気にアップしたほうが
 みなさまに見ていただけると思います)


 テーマ詠「花」選歌結果 -----------------------------------------------------------------

(  )内が作者名です。
《選》のところにあるのが、その歌を選んだ方のお名前です。

A そよ風の裏切りにより花びらは着地するほかなかったんだよ(木下龍也)
《選》 あおい月影 高橋たまき 土屋智弘  山階基  結城直  飯田彩乃
    天国ななお  本多響乃  野比益多

B お隣のケンカを夜ごと聞かされる私の罪は何? 沈丁花(山口ヤスヨ)
《選》 龍翔

C 折れさうな身体のお兄さんの手に仕事の都合といふ花言葉(山階基)
《選》 河合弘枝  飯田彩乃

D スギ花粉噴射スプレー目と鼻に ヒロ先輩に卒業祝い(河野麻沙希)
《選》  阿波野巧也

E 桜舞う恋を奏でる曲の音と香り残して君に届けと(あおい月影)
《選》  薫智大介 山崎修平

F 営業が出払った午後事務員のまどろみのなか睡蓮ひらく(ユキノ進)
《選》 あおい月影 河合弘枝  黒崎立体  住友秀夫  土屋智弘  龍翔 
          飯田彩乃  天国ななお  本多響乃  野比益多

G 鮮やかな色響かせて咲き誇る好きという花降りそそぐ君(薫智大介)
《選》 河野麻沙希

H (わたしの部屋のあなたの花が咲きました)わたしのあなたが告げた春(山崎修平)
《選》 阿波野巧也 河合弘枝  高橋たまき

I 咲くことのない花ですとわたされた石をあなたは窓辺にかざる(野比益多)
《選》 阿波野巧也 河合弘枝  黒崎立体  薫智大介  土屋智弘  山口ヤスヨ 山階基
          結城直  龍翔  木下龍也  山崎修平  ユキノ進  飯田彩乃  天国ななお  本多響乃

J 花に降る雨の静けさきらきらといのちほどけてゆくさくらばな(阿波野巧也)
《選》 あおい月影 住友秀夫  薫智大介  土屋智弘  ユキノ進  本多響乃

K 守っても守りきれないものがある カーネーションがシーツに咲いた(龍翔)
《選》 黒崎立体  山口ヤスヨ  河野麻沙希

L ひらひらとさくら花びら花筏めだかの子らはお遊戯やめた(住友秀夫)
《選》 結城直  龍翔  河野麻沙希  山崎修平 飯田彩乃  野比益多

M 吹く風に枝垂れ桜はゆれておりリズムは淡い1/f(土屋智弘)
《選》 住友秀夫  高橋たまき

N さいたなら枯れてゆくだけ心咲さんさかなくていいこころなんかを(黒崎立体)
《選》 阿波野巧也  河合弘枝

O ほろよいのお花畑で落ち合ってこのまま二人どこか消えたい(結城直)
《選》土屋智弘  山口ヤスヨ  河野麻沙希  山崎修平

P 口々に春うたうべく咲く花のひとつを選りて耳もとに挿す(飯田彩乃)
《選》あおい月影 黒崎立体  住友秀夫  高橋たまき   薫智大介  結城直
         木下龍也  ユキノ進  天国ななお  本多響乃  野比益多

Q 花びらを涙でつけて待っている 遠くからでも気がつくように(天国ななお)
《選》高橋たまき  山口ヤスヨ  山階基   木下龍也

R 桜たちおかえりなさい旅ならばかなたの春よいってらっしゃい(高橋たまき)
《選》 山階基   ユキノ進  天国ななお

S 薄桃の君がまっすぐ行けるよう道しきつめる花びらになる(河合弘枝)
《選》 あおい月影  住友秀夫  結城直  河野麻沙希  木下龍也  山崎修平

T この岸がどちらがわでもかまわない空ににじんでゆくさくらばな(本多響乃)
 《選》 阿波野巧也  黒崎立体  薫智大介  山口ヤスヨ  山階基  龍翔  木下龍也
           ユキノ進  野比益多

2013年4月5日金曜日

おうちで第5回空き地歌会を楽しむために

みなさまこんにちは。いよいよ明日は第5回空き地歌会です。
空き地歌会はおうちにいても歌会を体験していただけるように、
USTREAM中継を行っています。ぜひご覧ください。
それでは明日、15:00に空き地でお会いしましょう。


■USTREAM放送時間:
4/6(土)15:00〜18:15

■USTREAM URL:
http://www.ustream.tv/channel/akichi-utakai

■Twitterアカウント
@akichi_kakai
(歌会中の中の人は、天国ななおさんと飯田彩乃さんです!)

Twitterでの参加をお待ちしております。
★ハッシュタグは→ #空き地歌会5
★各歌についてのコメントには、歌のアルファベットをご記入ください。

■ネットで見る詠草はこちら
http://akichikakai.blogspot.jp/2013/03/5.html

■プリントできる縦書き詠草集(牛システム付き)はこちら
http://firestorage.jp/download/e4960e7445a26fd391da772369439a98c36f4f6e
歌会で使用するものとおなじ詠草集です。

※牛システム
大阪空き家歌会の牛さんが開発した、
票数計算がしやすい詠草集。